【AI入門】機械はどうやって賢くなる?「パターン認識」の仕組みを世界一やさしく解説①

はじめてのパターン認識全力解説!機械学習初心者向け「第一章 パターン認識と特徴ベクトル」

「スマホの写真アプリが、自動で友達の顔を見分けてくれる」 「迷惑メールが、勝手に専用フォルダに振り分けられている」

こんな「賢い」機能、どういう仕組みで動いているか不思議に思いませんか? その魔法のような技術の裏側には、「パターン認識」というAIの基本的な考え方があります。

この記事では、AIや機械学習の知識がゼロの方でも理解できるよう、パターン認識の設計図を紐解いていきます。この記事を読めば、AIが賢くなるための「第一歩」が分かるように解説します!


AIが「見分ける」ための4つのステップ

コンピュータが何かを認識するプロセスは、凄腕のパン職人が、目隠ししてもパンの種類を当ててしまうのに似ています。彼らは、長年の経験から「香り」「重さ」「手触り」などから総合的に判断しますよね。人は五感を用いてパターン認識を行っているということですね👀

AIのパターン認識も、これと似たようなステップを踏んでいます。

ステップ1:データの入力(まずは観察)

パン職人が、まずパンを手に取るように、AIもまずは対象のデータをインプットします。これは、画像、音声、文章など、認識したい対象そのものです。このように何かを判断することを「識別」といいましょう。

  • : 顔認証ならカメラで撮影した顔の画像、迷惑メール判定ならメールの文章全体。

ステップ2:データの前処理(ノイズを取り除く)

パンの香りだけに集中するために、周りの雑音をシャットアウトするように、AIも分析の邪魔になる情報を取り除きます。これを前処理(Preprocessing)と呼びます。

  • : 顔の画像から背景を切り抜く、メールの文章から意味のない記号や広告を削除する。

ステップ3:特徴を見つける(判断基準を数字にする)

ここがAIのキモです!パン職人が「重さ」「硬さ」「甘い香り」といった判断基準を持っているように、AIも対象を区別するための「特徴」を数値として取り出します。これを特徴抽出(Feature Extraction)と呼びます。

  • : 顔の画像から「目と目の間の距離」「鼻の高さ」「輪郭の形」などを数値化する。

ステップ4:分類・判断(ルールに従って答えを出す)

最後に、抽出した特徴(数値データ)を、あらかじめ学習しておいたルールと照らし合わせ、最終的な答えを出します。

  • : 「この数値の組み合わせは、Aさんの特徴と99%一致する」→「Aさんです」と判断。

この「入力 → 下ごしらえ → 特徴の発見 → 判断」という4ステップが、あらゆるパターン認識の基本設計図です。


モノを数字に変換する「特徴ベクトル」とは?

ステップ3で登場した「特徴を数値(ベクトル)として取り出しまとめたもの」。これを専門用語で特徴ベクトル(Feature Vector)と呼びます。

なぜ「ベクトル」なのでしょうか? コンピュータは「ふわふわした食感」や「甘い香り」をそのまま理解できません。そのため、すべての判断基準を数字のリストに変換してあげる必要があるのです。

例えば、2種類のパン「メロンパン」と「クロワッサン」を特徴ベクトルで表現してみましょう。

  • メロンパン: [表面の硬さ: 0.8, 甘さ: 0.9, 重さ: 90g]特徴ベクトルA = [0.8, 0.9, 90]
  • クロワッサン: [表面の硬さ: 0.3, 甘さ: 0.2, 重さ: 50g]特徴ベクトルB = [0.3, 0.2, 50]

このように、対象の「特徴」を、決まった順番に並べた数字のリストが特徴ベクトルです。コンピュータは、この数字のリストを使って、「ベクトルAはメロンパンっぽいな」「ベクトルBはクロワッサンっぽいな」と数学的に判断しているのです。


特徴選びはセンスが問われる!

ここで一つ、とても重要なことがあります。それは「どの特徴を選べば、うまく対象を見分けられるか?」は、機械が自動では決められないということです。これは人間が試行錯誤しながら見つけ出す必要があります。

例えば、あなたが「迷惑メール」と「普通のメール」を見分けるAIを作るとします。

もし、あなたが特徴として「メールの文字数」だけを選んだらどうでしょう?迷惑メールにも普通のメールにも、長いものと短いものがあります。これでは、うまく見分けることはできませんよね。

では、「”当選”という単語の有無」「含まれるURLの数」「送信元のアドレス」などを特徴に選んだらどうでしょう?これらは、迷惑メールに偏って現れる特徴なので、AIは高い精度で迷惑メールを見つけられるようになります。

このように、的確な「特徴」を見つけ出す作業は特徴設計(Feature Engineering)と呼ばれ、AI開発者の腕の見せ所であり、認識精度を左右する非常にクリエイティブな工程なのです。


まとめ 📌

  • AIが何かを認識する基本的な流れは「入力 → 前処理→ 特徴の抽出 → 判断」の4ステップ。
  • コンピュータは、対象の特徴を数値のリスト(特徴ベクトル)に変換して理解している。
  • どの特徴を選ぶか(特徴設計)が、AIの賢さを決める上で非常に重要。

今回は、AIが世界を「認識」するための、最も基本的で重要な考え方をご紹介しました。この仕組みが、自動運転や医療診断など、最先端技術の根っこを支えています。


もっと深く学びたい方へ

この記事で解説した内容は、パターン認識という分野の入り口にすぎません。 もし、さらに深く、体系的に学んでみたいと思われた方には、以下の書籍がおすすめです。私がこの分野を学ぶ上で大変参考になりました。非常に分かりやすい言葉で本質を解説してくれる、定番の良書です。

  • 『はじめてのパターン認識』 (平井 有三 著)

はじめてのパターン認識 単行本

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